5-3 KDPにおけるペーパーバックのやり方とは?表紙づくりのポイントも解説

執筆者 | Kindle出版の方法

今回はおまけとして、ペーパーバックのやり方についてお話しします。ペーパーバックとは下のスクショの左下の部分を見ていただきたいのですが、紙の書籍で実際に手に取れるものを指します。

電子書籍とは別に、Kindleでは紙の書籍も出版可能です。従来の紙の書籍とは違ってペーパーバックの場合、在庫を抱えるリスクがありません。Kindleと並行して、ペーパーバックを販売することも可能です。その他にもペーパーバック出版のメリットとして、以下のようなことが挙げられます。

  • Amazonのプラットホームで販売できる
  • ランキングの対象
  • 印刷コストがかからない

ペーパーバックは手軽かつスピーディに出版できるのでおすすめです。今回はペーパーバックのやり方について見ていきましょう。

ペーパーバックに必要なデータ

ペーパーバックを出版するためには、以下の2つのデータが必要です。

  • 表紙のデータ
  • 本文のデータ

それぞれ、どのように作成や準備すればいいかについて解説していきます。

表紙

まずは表紙のデータを準備しましょう。以下のスクショのような感じになります。

表紙は表のほかに裏表紙が必要です。上の画像のように表と裏がセットになっているものを作成してください。また表紙のサイズが決まっている点も覚えておきましょう。

表紙作成はそれほど難易度の高いものではありません。Amazonでテンプレートが用意されているからです。テンプレベースで作成していきましょう。テンプレを使った表紙の作成方法については、後で詳しく解説していきます。

本文

もう一つ必要なのは、本文の原稿に関するデータです。PDFで作成されたデータが必要になるので、あらかじめ用意しておいてください。

上のスクショでは表紙も込みですが、必ずしも表紙を本文の原稿データの中に含める必要はありません。今回は縦書きの文章ですが、横書きでもペーパーバックは作成できます。

ここまで見てきたように、表紙と本文の原稿データがペーパーバック作成では必要です。作成方法はそれほど難しくありません。これからペーパーバック作成手順について紹介するので、実践してみましょう。

ペーパーバックの作成手順

ペーパーバックの作成手順についてお話しします。大まかな作業手順は以下のようになります。

  1. ペーパーバックの詳細情報
  2. ペーパーバックのコンテンツ
  3. ペーパーバックの価格設定

順を追って説明しますので、流れに沿って操作すればペーパーバックは完成するはずです。

ステップ1:ペーパーバックの詳細情報

まずKDP(Kindle direct publishing)のトップページにアクセスし、以下のスクショの「紙書籍」というところをクリックしてください。

Kindleの時には「電子書籍または有料マンガ」だったので、間違えないようにしましょう。すると以下のようなページに変わるはずです。基本的にはKindleで作成したのと同じだと思ってください。本のタイトルはじめ、必要事項を入力していきましょう。

中にはKindleですでに出版している人もいるでしょう。その場合には以下のスクショのように「ペーパーバックの作成」をクリックしてください。本棚にアクセスするとこれまで出版した書籍の一覧が出てくるので、ペーパーバックにしたい書籍の「ペーパーバックの作成」ボタンを押しましょう。

すると下の画像のように本のタイトルはじめ、書籍に関する情報がすでに入力された状態で表示されます。手で入力するのと比較して、時間も負担もかなり軽減されます。

自分で入力した場合も、「ペーパーバックの作成」ボタンを利用した場合もすべて必要事項を入力できたら、「保存して続行」ボタンをクリックしてください。

ステップ2:ペーパーバックのコンテンツ

続いてペーパーバックのコンテンツです。まずペーパーバックのコンテンツでは「紙書籍のISBN」という項目があります。下のスクショの右上を見てください。

書籍には裏表紙のところにバーコードのようなものがついています。このバーコードをISBNと言います。ISBNに関しては「無料のKDP ISBNを使用」という選択肢を選ぶのが一般的です。そうすれば、自動的に番号が発行されるので簡単です。

続いて「印刷オプション」という項目が現れます。印刷オプションをカラーにする場合には「プレミアムカラー」、白黒でかまわなければ「白黒」を選びましょう。ほかにも「標準カラー」という選択肢もありますが、日本ではこちらは選択できません。

印刷オプションをカラーにするか白黒にするかで、印刷コストが違ってきます。予算のことも考慮して、どちらにするか選んでください。

続いて版型の設定に映りましょう。版型とは簡単に言ってしまえば、書籍の大きさのことです。

版型の設定によって、縦長でも横長の書籍でも作成可能です。先ほどのスクショを見てください。左側に具体的な数値の入ったものがあります。この大きさで問題なければ、こちらを選択しましょう。もし異なるサイズを希望するなら「他の版型を選択」をクリックしてください。

このようによく使われる標準的な版型がいろいろと出てきますので、好みのサイズを選択しましょう。ここで注意してほしいのは、表紙と本文は同じサイズで作成する点です。

ePubの場合、細かな部分については調整してくれるのでサイズに関してそこまで気にする必要はありませんでした。しかしペーパーバックの場合紙書籍なため、サイズは自分で設定しなければならないので注意してください。

もしこのサイズ調整がうまくいかないと枠からはみ出したり、余白の部分を誤ったりしてエラーになってしまうことがあります。今回は「148×210mm」というサイズに設定してみました。もし標準的な版型で好みのものがなければ、下部に「独自の版型」という項目があります。こちらで幅や高さを自分で決めて、「選択」ボタンをクリックしましょう。

次に「ペーパーバックの表紙仕上げ」という項目が現れます。ペーパーバックの表紙を光沢ありのものにするか、なしにするか選択する項目です。光沢ありのものとなしのものについて、以下の画像で紹介しますので選ぶ際の参考にしてください。(画像右上の部分)

最初が光沢ありのもので、後者がなしのものです。

次に「ページを読む方向」という項目です。これは横書きと縦書き、どちらのレイアウトで本を作成するかで決めましょう。横書きの場合なら「左から右」、縦書きを希望するのであれば「右から左」を選択してください。

中には外注して誰かにペーパーバックの作成をお願いするケースもあるでしょう。その場合には受注者に「右開きにしたい」や「左開きでお願いします」などと指定しておきましょう。

続いて「原稿をアップロード」という項目が出てきます。ここで本文をアップロードしてください。今回はPDFで作ったデータをアップロードしていきます。PDFのほかにもドキュメントやHTML形式のデータでもアップロードは可能です。

「原稿をアップロード」ボタンをクリックすると、ファイルを選択するダイアログが開きます。ここで対象のファイルを選択して「開く」ボタンをクリックしましょう。すると「アップロードしています…」というメッセージが立ち上がります。しばらくそのままになるかもしれませんが、待ちましょう。

このように「原稿を正常にアップロードしました」という緑色のメッセージが表示されれば、本文が問題なくアップロードしたことになります。もし赤く表示されたのであれば、なにか不備があるので見直してみてください。続いて表紙をアップロードしましょう。

表紙のアップロードも原稿と同じ要領で行います。表紙を作成する際におすすめしたいのが、Canvaというツールです。以下のスクショのように、版型さえ決めればテンプレートが表示されるので便利だからです。テンプレをダウンロードすれば、表紙は簡単に完成します。

Canvaで表紙を作る際には、ページ数も設定しましょう。上のスクショで表紙と裏表紙に挟まる隙間部分があります。この部分のボリュームをどうするか、ページ数によって変わってくるためです。

ページ数によって、表紙のサイズも変わってきます。表紙を作成する際には、まずページ数を決めてから作業に取り掛かってください。今回表紙に関しては、以下のような感じで作成してみました。

表紙をアップロードする際にはPDFにする必要があるので、注意してください。原稿と同じく「表紙をアップロード」をクリックし、対象のファイルを選択します。そして「開く」ボタンをクリックし、アップロードされるまで待ちましょう。

このように「表紙のアップロードに成功しました」というメッセージが出れば、表紙のアップロード作業は完成です。表紙の下に「AI生成コンテンツ」と呼ばれる項目があるでしょう。AIで作成した場合には「はい」、作成していなければ「いいえ」にチェックを入れましょう。チェックを入れると「自分の回答が正しいか確認することになります」というメッセージが表示されるかもしれません。その場合にはチェックボックスにチェックを入れましょう。

AIに関する項目の次に「プレビューアーを起動」という項目があります。こちらは忘れずにクリックしておきましょう。「プレビューアーを起動」をクリックすると、以下のように書籍のプレビューが表示されます。

自分の思った通りに作成できているか確認できます。右開きか左開きかも確認できますし、今まで気づかなったミスを発見できる場合もあるからです。

自分で作成すると思い通りにいかない場合も少なくありません。なかなか思い通りの書籍にならなければ、外注してしまうのも一つの方法です。納得できるプレビューになっていれば、右下の「承認」をクリックしましょう。

中にはプレビューアーを起動しようと思ったら、エラーになってしまう場合もあります。エラーが表示されるのは、PDFなどに不備があるためです。エラー表示になったら、問題点はないか見直してください。

次に概要という欄があり、ここで印刷コストについて確認できます。これまでの設定でペーパーバックを作成した場合、いくらになりますよという費用が表示されます。

ペーパーバックの価格に関しては、自分で自由に設定できます。しかし価格がまるまる自分の収益にはなりません。価格からAmazonのロイヤリティや印刷コストが差し引かれます。その印刷コストがいくらになるか、この段階でチェックできるわけです。

今回は印刷コストだけでも475円かかるので、それ以下の値段で売り出しても損してしまいます。475円プラスロイヤリティよりも高い価格設定にしてください。ここまで出来たら「保存して続行」をクリックしましょう。

ステップ3:ペーパーバックの価格設定

最後が「ペーパーバックの価格設定」です。まず出版地域に関しては基本的に「すべての地域」を選択してください。

次に「主なマーケットプレイス」に関しては日本のはずです。よって「Amazon.co.jp」をプルダウンで選択しましょう。

次の項目である「価格設定、ロイヤリティ、配信」に関しては、以下のスクショの「Amazon.co.jp」の部分に注目してください。ここで「最小¥792、最大¥30000」と表示されています。これはこのペーパーバックは「少なくても792円以上で売ってください」という意味です。この金額はロイヤリティや先ほど紹介した印刷コストなどを反映した価格です。

今回は試しに「1000円」に設定してみました。すると、以下のスクショのようにロイヤリティの部分が「125円」と表記されました。つまり1,000円でペーパーバックを販売した場合、自分のところに入ってくるのは125円という意味です。印刷コストに関しても「475円」と合わせて表記されます。

ほかの項目はKDPの方で自動的に計算されるので、何もせずそのまま進んでいきましょう。最後に右下の「ペーパーバックを出版」というボタンをクリックすればAmazonでペーパーバックが並びます。

しかし「ペーパーバックを出版」の上部に「校正刷りを依頼」というボタンがあるでしょう。こちらは印刷コストはかかるものの、実際の書籍を入手できます。依頼すると、このような感じで実際に販売される書籍が著者のもとに届きます。

実際に書籍の中身も確認できます。ただし上の書籍の表紙のように「再販禁止」という帯が入った状態で届く点に留意してください。あくまでも印刷をチェックするためであって、他人に売ることはできません。問題ないようでしたら、先ほどの「ペーパーバックを出版」をクリックすれば、皆さんの書籍がペーパーバックにてAmazonに並ぶわけです。

表紙の作り方

ここまでがペーパーバックの出版の流れになります。最後に表紙の作り方について、さらに詳しくお話しします。KDPのヘルプページの中に、以下のように「ペーパーバックの表紙の作成」というコンテンツがあります。

上にある「ヘルプを検索」で「ペーパーバック表紙」などのキーワードで検索すれば、ページが表示されるはずです。「ペーパーバックの表紙の作成」の中に「表紙計算ツールとテンプレート生成ツール」があるはずです。こちらをクリックしましょう。

上の画像のように自分の書籍のタイプなどを設定できる画面に移行します。ほかにも用紙タイプやページめくりの方向などを設定すれば、テンプレートを作成できます。

ここで忘れてはならないのが「ページ数」です。現行のPDFファイルを確認して、全部で何ページあるかチェックしましょう。その数字を「ページ数」のところに入力します。

ページの下部に「サイズの計算」というボタンがあります。必要な項目を設定できたら、こちらをクリックしてください。すると以下のような画面が表示されるはずです。

それまでの設定で、「表紙と裏表紙はこのサイズで作ってください」とイメージ画像込みで表示されます。今回の場合、全表紙が304.02×216.35と表示されました。

先ほど紹介したCanvaで表紙作成するなら、「カスタムサイズ」の項目で幅304.02、高さ216.35に設定すれば良いわけです。

サイズ設定できたら「新しいデザインを作成」をクリックしましょう。するとフォーマットが表示され、先ほど設定した304.02×216.35のサイズになっているはずです。

先ほどの「表紙計算ツールとテンプレート生成ツール」で数値設定すると、テンプレートが表示されました。下のスクショのようにこのページには「テンプレートをダウンロード」というボタンがあります。こちらをクリックするとテンプレのダウンロードが可能です。

すると先ほどの表紙サイズでテンプレートができるはずです。あとはCanvaで表紙にしようと思っているデータをはめ込んでいくだけです。出来上がったらPDFファイルなどでダウンロードし、KDPにアップロードしていってください。

まとめ

いかがでしたか?
今回はペーパーバックのやり方について解説しました。Kindleのように電子書籍ではなく、従来の紙の書籍で実際に手に取ってみてほしいと思う人もいるでしょう。ペーパーバック出版を活用すれば、自分の著書を実際に手に取ってみてもらえます。

Kindle出版に慣れれば、ペーパーバックの作業も同じようなものなのでそれほど難しくはありません。興味のある人はぜひやってみましょう。最後まで見ていただきありがとうございました。